初診・出産年齢・服用期間

30歳


32歳


1年2か月

初診前の状況について

潜在性高プロラクチン血症、黄体機能不全と診断され、カバサール、デュファストン服用中です。フーナーテストは不良。人工授精を7回施行しましたが妊娠しませんでした。できれば自然妊娠したいと来院されました。

診療と診断

身長149.5cm、体重46,5kgと小柄でやや小太りなタイプ。月経は順調。腹診すると、お腹は硬く、腹直筋および鼠径部の突っ張りをみとめます。冷え症で、皮膚のかさつき、かゆみの訴えもあります。まず腹証より、当帰四逆湯を投与しました。冷えがあり、また便秘気味なので、熟地黄、附子、大黄を加味しました。
3ヵ月服用後、腹直筋の突っ張りが取れてきました。半年服用後には、鼠径部の突っ張りも取れて、お腹がややふっくらとしてきました。そこで、当帰四逆湯と当帰芍薬散料の2処方とし、交互に服用するよう指示しました。お腹の状態が良くなっているので、人工授精をしても良いと話しました。その後は当帰四逆湯と当帰芍薬散料の2処方を継続し、初診から約1年2か月服用した頃、自然妊娠したと報告を受けました。妊娠後は順調に経過し、無事男児を出産されました。 


治療のポイント

この患者さんは、まず当帰四逆湯で四肢末端の血行不良をよくし、お腹の硬さを解消しました。その後、卵巣・子宮の発育不全と考え、当帰芍薬散料を投与しました。この両薬方で冷え症を治し、ホルモンバランスを整えることで自然妊娠に至ったと考えられます。冷えた状態では、人工授精を何度行っても妊娠までには至らず、また、フーナーテストの結果にも悪影響を与えていたのでしょう。まず、子宮・卵巣環境を整えることが重要と再認識できた症例です。

処方した漢方薬

当帰四逆湯とうきしぎゃくとう
当帰芍薬散料とうきしゃくやくさんりょう


当帰四逆湯

当帰とうき四逆湯しぎゃくとう

しもやけがよくできる、冷え性の人に。
血流をよくし、身体を温めます。



当帰芍薬散料

当帰とうき 芍薬散しゃくやくさん りょう

体が弱く貧血気味の人に。
血を補い、水毒をとり、胃の働きを促します。流産止めにも用いられます。



当診療所では、おひとりおひとりの体質や状態に合わせて、生活習慣や食事、服装などの詳しいアドバイスも行っています。あなたの今の健康状態を丁寧に評価し、それに基づいてオーダーメイドの漢方処方を行います。症状が似ているからといって、市販の漢方薬を安易に服用するのは危険ですのでくれぐれもご注意ください。初診のご予約はオンラインでもお電話でも結構です。お電話でもお気軽にご相談ください。