[vol.12]人工授精3回、精子無力症の男性不妊、腎虚を改善し妊娠
この記事は会員限定です。ログインするとお読みいただけます
初診・出産年齢・服用期間

妻 33歳
夫 43歳

34歳

妻 6か月
夫 6か月
初診前の状況について
精液検査、フーナーテストともに不良で、人工授精を3回行いましたが妊娠には至りませんでした。妻は子宮内膜症があり、体外受精を勧められているとのことですが、まずは妊娠できる体作りをして、1日でも早く子供を授かりたいとご夫婦で来院されました。
診療と診断
妻は、身長152cm、体重41kg。寒がりで冷え性。基礎体温は2相性を示していますが、高低差が少なく、全体的に高く推移しています。腹診すると瘀血の圧痛点を認めました。お腹の硬さはさほどでもありませんが、太もも、お尻の冷えもあったので、血府逐瘀湯を投与。2ヵ月服用後、瘀血は解消しふっくらと軟らかいお腹になりました。そこで当帰芍薬散に変方しました。
4か月後、肩こり等の月経前症候群あり。腹証より当帰芍薬散料と血府逐瘀湯の2薬方を投与し交互に服用としました。体温表をみると、移行期がはっきりし高温相が安定してきています。
初診から6か月後、高温期が16日と続いているため、検査をしたところ陽性反応を示しました。自然妊娠です。その後は、順調に経過し、女児を出産されました。
夫は、身長180cm、体重74kgと大柄。精子の数にバラつきがあり、精液検査の結果、精子数1㎖中1600~3900万、運動率2~10%と精子無力症です。腹診すると、見ためとは異なり、下腹部は力がなく臍下不仁でした。腹証より八味地黄湯を投与。ベスト体重を70kgとし、減量するように話しました。同薬を6ヵ月服用、妻が妊娠した時点で投薬を中止としました。

治療のポイント

八味地黄湯は男性不妊によく用いられます。男性不妊の原因も漢方では腎虚にあると考えます。精子の検査をしていないので数値的な変化は分かりませんが、夫は八味地黄湯で腎虚が改善され、妻は血府逐瘀湯で瘀血が改善し、当帰芍薬散料で卵巣・子宮に力がついたのでしょう。夫婦で服用することで、環境が整った結果の妊娠だと思います。
処方した漢方薬
妻: 血府逐瘀湯・
当帰芍薬散料
夫: 八味地黄湯

末端より体の中心に冷えがみられる人に。
気(き)・血(けつ)・水(すい)のめぐりをよくします。

体が弱く貧血気味の人に。血を補い、水毒をとり、
胃の働きを促します。流産止めにも用いられます。

当診療所では、おひとりおひとりの体質や状態に合わせて、生活習慣や食事、服装などの詳しいアドバイスも行っています。あなたの今の健康状態を丁寧に評価し、それに基づいてオーダーメイドの漢方処方を行います。症状が似ているからといって、市販の漢方薬を安易に服用するのは危険ですのでくれぐれもご注意ください。初診のご予約はオンラインでもお電話でも結構です。お電話でもお気軽にご相談ください。

