[vol.14]下痢しやすい虚弱体質を改善し、8ヶ月で妊娠
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初診・出産年齢・服用期間

32歳

33歳

8か月
初診前の状況について
婦人科でタイミング指導を受けていますが結果が出ないとのこと。精子の検査は良好も、フーナー検査の結果が不良で人工授精を勧められており、迷っているので相談したいと来院されました。
診療と診断
身長162cm、体重45.5kgとやせ型で虚弱なタイプ。月経周期にバラつきがあり、基礎体温は高温相が低く短い。寒がりで冷え症。胃腸が弱く下痢気味。腹診すると、腹直筋が緊張し、腹壁は軟弱で下痢圧痛点を認めます。そこで、まず真武湯を投与し、体重を2kg増やすよう話しました。
1か月半服用後来院、腹診すると、心下痞(みずおちがつかえる)があり、時々痛むとのこと。腹部は軟弱、下痢圧痛点は認められなくなりましたが、また下痢をしたといいます。これらを目標に附子理中湯に変方しました。この薬方を2か月弱服用後に来院、下痢症状は生理直前だけとなり、心下痞は軽減。冷え症で鼠径部の突っ張りを認めるため、附子理中湯と当帰四逆湯を1日交互の服用としました。この2処方を約4か月服用後、下痢もなくなり、体重も46~47kgとなって、お腹もふっくらとしてきました。引き続き同2処方を継続、1か月ほどたった頃に妊娠の報告を受けました。その後は順調に経過し、自然分娩にて女児を出産されました。

治療のポイント

胃や腸が弱っている状態を、漢方では「脾胃の虚」といいます。この方は食が細く、野菜、果物を好み、お茶もよく飲むということで、栄養が卵巣・子宮に行き渡っていないと考えました。まず下痢を目標に真武湯を投与。一旦は良くなりましたが、また下痢をしました。そこで、胃腸を丈夫にしようと人参湯に附子を加味した附子理中湯を投与したところ、これがよく効きました。この後、附子理中湯と当帰四逆湯の2薬方を投与し、「ふっくらなお腹」となり妊娠されました。
処方した漢方薬
真武湯
附子理中湯

