常時120種類以上の生薬を常備

漢方薬は、自然界から得た生薬を組み合わせて作ります。当診療所では患者様に遅滞なく漢方薬を処方できるように、常時120種類以上の生薬を常備しています。また、扱っている生薬は、安心して服用していただけるよう充分に吟味しています。
漢方薬は本来の剤形は煎じ薬です。診察によって見極められた患者様の証に合わせて生薬の種類や分量が調整され処方されます。煎じ薬は患者様お一人おひとりに合わせたオーダーメイドといえます。当院では最適なお薬を服用していただくためにも煎じ薬を第一と考えています。治療目的、また、旅行などの場合は他の剤形でお出しすることもあります。どうしても煎じられない場合は医師にご相談ください。
煎じ方、服用方法については、初めてのご来院の際、丁寧に説明させていただいています。

1つ1つ丁寧に調合

当院で処方する漢方薬(煎じ薬)は、構成される生薬の分量が正しく配合されるように、一日分ずつ丁寧に調剤しています。煎じ薬一日分を小袋にお入れしてお渡ししていますが、どの小袋の分量も同じになるようにそれぞれの生薬をひと匙ごとに丁寧に調剤することを心掛けています。医師の診察により決定された処方は、患者様お一人おひとりのオーダーメイドです。スタッフ一同、患者様が安心して服用して頂けるように心を込めて対応させていただいています。

当院で用いる代表的な漢方のご紹介

  • 当帰芍薬散料

    当帰とうき芍薬散しゃくやくさんりょう

    体が弱く貧血気味の人に。血を補い、水毒を取り、胃の働きを促します。
    虚弱体質で疲れやすく、顔色が優れず、貧血ぎみ。足腰が冷え、頭痛、頭重、頭冒(頭がボーとして帽子をかぶったように重い感じ)、めまい、動悸、月経痛、月経不順を訴え、腹部が軟弱な人に。流産止めにも用いられます。
    当帰芍薬散は身体を温め、血を増やし体液を調整して子宮・卵巣に力をつける働きがあり、「婦人の聖薬」とも言われています。また、流産防止にも役立つ「産前産後の良薬」です。当帰と芍薬で、主に血虚(貧血)を補い、白朮で脾(胃腸)を補います。沢瀉、茯苓により水毒を治し、身体の水分代謝をよくします。また当帰と川芎の組み合わせで、活血、血行を促します。全体として、「血虚・水毒・湿」を治します。

  • 当帰四逆湯(当帰四逆加呉茱萸生姜湯)

    当帰とうき四逆湯しぎゃくとう
    (当帰四逆加呉茱萸生姜湯とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

    しもやけがよくできる、冷え性の人に。血流をよくし、身体を温めます。
    強弱体質の冷え性で、平素から手、足、腰が冷えるもの。冷えるとお腹が張って突っ張り、ガスがたまり、寒い日や雪の降る日に痛む(疝気)。俗に「疝の病」といいます。当帰芍薬散を投薬するタイプより強い冷えがあります。
    当帰四逆湯は、当帰芍薬散にくらべ、よく身体を温め、血行を盛んにする働きが強く、しもやけができやすいタイプの不妊症に効果的です。夫婦関係の後の腹痛や疝(冷え)による腹痛にも用います。当帰芍薬散と同じように、当帰と芍薬で血虚を補い、血脈を温養しますが、大棗、甘草がさらにこのはたらきを助けます。桂枝、細辛、木通で気をめぐらせ、より体を温めます。頭痛の強い場合は、呉茱萸、生姜を加え、より体を温めて、寒気からくる頭痛を治します。

  • 桂枝茯苓丸料

    桂枝けいし茯苓丸料ぶくりょうがんりょう

    瘀血を取り、血流をよくします。駆瘀血剤の代表的な薬方です。
    中肉中背で、血色がよいタイプ。赤ら顔が多く、頭痛、肩こり、のぼせを訴える、下腹部に圧痛がある等、いわゆる瘀血の証が見られる場合に用います。瘀血に関する症状は、生理痛など女性の婦人科系に限らず、高血圧など男性の生活習慣病にも多くみられます。月経不順、月経困難症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症、不妊症、尿路結石、打撲傷、皮膚病および生活習慣病など。桃仁と牡丹皮が体の中の瘀血を排出させ、桂枝が気をめぐらし、血行をよくして、瘀血を取る力を高めます。芍薬はこの場合、赤芍を使い、瘀血を排出する働きを助けます。

  • 折衝飲

    折衝飲せっしょういん

    冷えと瘀血が両方あり、お腹が張りやすい人に。
    中肉中背で、ガスが多く、お腹が張りやすいタイプ。腹痛、腰痛、下腹部から腰にかけてひきつるように痛む疝痛、生理痛、生理不順などを訴える場合に。夫婦関係の際、性交痛、腹痛を訴える場合も。
    折衝飲も駆瘀血剤の代表的な薬方です。当帰芍薬散と桂枝茯苓丸料を合わせ、延胡索などの気滞をとり除く薬が加えてあり、また、より瘀血を排出させるために紅花を加え、利水剤の牛膝を加え、水分代謝を改善させます。血行を良くして、腰をあたためる薬方です。

  • 温経湯

    温経湯うんけいとう

    冷え、のぼせや、肌の乾燥、生理不順などに。血行を良くして身体を温めます。
    虚弱体質の冷え性で、常に足腰が冷え、血色が優れない。皮膚はウロコのようにカサカサし、口唇も渇き、手のひらはあれてほてっていることが多い。また、冬は指先があれる。子宮、卵巣が冷えているために月経不順、腰痛、帯下(おりもの)、下腹部の膨満感がある。このような症状がある場合に。温経湯は血流を促し身体を温める、うるおいをもたらす、滋養作用をもつ、といった生薬をバランスよく配合している薬方です。

  • 大柴胡湯合桂枝茯苓丸料

    大柴胡湯だいさいことう合桂枝茯苓ごうけいしぶくりょう丸料がんりょう

    比較的体力があり、瘀血の強い、かた太りタイプの人に。強い胸脇苦満(わき腹がかたく張ること)と心下急(みずおちの詰まった感じ)がある。頭痛、肩こり、便秘を訴える。胃炎、肝炎、胆嚢炎、胆石、高血圧、ぜんそく、肥満。不妊治療の場合、体重の減少と、胸脇苦満を目標とします。
    大柴胡湯は、脂肪代謝を促進させて、体重を減少させる働きがあります。柴胡、黄芩でわき腹の堅さ(胸脇苦満)を取り、枳実、半夏などでみずおちの詰まった感じ(心下急)をとり去ります。このタイプの人は、体重の増加とともに瘀血も体内にたまっているので、桂枝茯苓丸料と合方し瘀血の排出を促します。

  • 防己黄耆湯

    防己黄耆湯ぼういおうぎとう

    汗の多い水太りタイプに。水分代謝をよくする利水剤の代表的な薬方です。
    水太りの体質で疲れやすく、汗が多い。肌は色白で湿り気を帯び、筋肉はやわらかくて締まりがない。一般的に肥満症、多汗症、変形性膝関節症、腎炎、妊娠腎のタイプ。不妊の場合は、汗の多い水太りタイプや流産しやすい人に処方します。余分な水分をさばき、受胎しやすい状態づくりをします。
    漢方では、水分代謝をよくし、身体の余分な水分を取る薬のことを利水剤といいます。防已、白朮は体の水分の流れをよくし、余分な水分を取り、身体をすっきりさせる効果にすぐれています。黄耆は、肌の表を固め、汗の出過ぎを止める働きがあります。

  • 加味逍遥散

    加味逍遥散かみしょうようさん

    加味逍遥散は更年期の薬で知られていますが、本来は気血水を整え戻す薬です。虚弱体質で、神経症状を伴う血の道症(婦人病)に。顔色が優れず、貧血気味、足腰が冷え、頭痛、頭重、肩こり、不眠、不安を訴え、気分が落ち着かず、イライラし、常に不定愁訴を訴えるような人に。
    気は自律神経、血は瘀血、水は水毒、このような気血水のみだれをリセットするのが加味逍遥散です。加味逍遙散には気血水を整える生薬がバランスよく入っています。流産後や出産後の体調回復、更年期の様々な症状(気分の落ち込み、ホットフラッシュなど)に著効を示します。

  • 芎帰膠艾湯

    芎帰膠艾湯きゅうききょうがいとう

    出血を止める働きがあり流産止めとしてよく用いられます。
    下半身の出血が続き、貧血傾向のあるものに。主として子宮出血、痔出血、腎臓・膀胱出血、流産の前兆等。当帰、川芎、艾葉、地黄などが配合された、養血安胎に効き目の有る四物湯に止血の薬を加えたもので、妊娠中の出血、切迫流産、分娩後の持続出血などにもちいられます