[vol.17]人工授精7回、顕微授精2回の不妊、結婚7年目で初めての自然妊娠
この記事は会員限定です。ログインするとお読みいただけます
初診・出産年齢・服用期間

35歳

36歳

1年
初診前の状況について
人工受精を7回行いましたが妊娠に至らず、顕微授精を2回行うも、分割が進まず胚移植できず、移植前にだめになってしまうことが続いたことのショックが大きく、その後は治療を休んでいるとのこと。体の中から改善して早く妊娠したいと来院されました。検査では特に問題はなく、原因不明の不妊です。
診療と診断
身長155cm体重42kgと小柄なタイプ。月経は順調。基礎体温は全体的に低めです。腹診をすると、下腹部の張りとガスを認め、腹直筋の緊張がありました。腹証から当帰四逆湯を投与。冷え、ガス腹を認めるため、附子、蜀椒を、便秘気味のため、大黄、麻子仁を加味しました。1か月弱服用したところで、腹直筋の緊張がとれ、ガスも軽減。3ヵ月服用後には下腹部のガスもなくなりお腹も軟らかくなりました。4か月服用後、お腹の状態が良いので、当帰芍薬散料に変方。この薬方を7か月服用後、検査薬にて妊娠反応がありました。自然妊娠です。その後は順調に経過し、男児を出産されました。

治療のポイント

西洋医療では、原因が分からなければ人工授精を数回繰り返し体外受精などの高度生殖医療へとステップアップすることになります。体への負担も大きくなり、効果が出なかった時にはショックを受ける方は多いでしょう。この方は、当帰四逆湯で冷えと突っ張りが取れ、お腹全体が軟らかくなったところで、当帰芍薬散料で妊娠へと導きました。まず母体作りをすることが重要であることを示した症例です。
処方した漢方薬
当帰四逆湯
当帰芍薬散料

