初診・出産年齢・服用期間

30歳


31歳


6か月

初診前の状況について

下垂体性卵巣機能低下と診断され、排卵誘発法、タイミング療法を行いましたが、1度も妊娠せず。漢方で自然妊娠を希望して来院されました。

診療と診断

身長161cm、体重64.5kgと肥満気味。月経は不順。腹診すると胸脇苦満があり、お腹はかたく、下腹部の左右に抵抗と圧痛(瘀血圧痛点)を認めました。腹証より大柴胡湯合桂枝茯苓丸料を処方し、冷えと便秘があるため附子と大黄を加味しました。ベスト体重を55kgとし、夜の食事を控え、運動をするように話しました。
約3ヵ月半服用後、体重は5kg減り59kg台となりました。瘀血はなくなり、腹部はやや軟となりました。肌は少しダブダブして水けがあり、また最近汗をよくかくというので、防已黄耆湯を処方し、大柴胡湯合桂枝茯苓丸料と1日交互の服用としました。月経周期は不順ですが、月経前の高温相が36.7度を超えるようになり、移行期もはっきりしてきました。5か月服用後、高温相がはっきりし、下腹部はよいやわらかさとなりました。その1か月後に電話があり、「検査薬で陽性反応が出ました」と報告を受けました。順調に経過し、女児を無事出産されました。


治療のポイント

この方は肥満気味で、下腹部に強い瘀血の圧痛を認めました。卵巣、子宮が圧迫されてなかなか妊娠しなかったものと思われます。そこで大柴胡湯合桂枝茯苓丸料で体重を落として瘀血を去り、防已黄耆湯で水気をさばいて、受胎しやすい環境をつくりました。出産後には、親子3人で来院してくださいました。嬉しいひとときです。

処方した漢方薬

大柴胡湯合桂枝茯苓丸料だいさいことうごうけいしぶくりょうがんりょう
防已黄耆湯ぼういおうぎとう