初診・出産年齢・服用期間

41歳


42歳


9か月

初診前の状況について

第一子を出産後2度流産され、その後人工授精を9回試み、1度妊娠しましたが10週で流産されています。なかなか第二子に恵まれないと来院されました。

診療と診断

身長162.5cm、体重55kg。月経は順調です。腹診すると鼠径部に突っ張りを認めます。冷えと突っ張りを目標に当帰四逆湯を投与しました。1か月後、鼠径部の突っ張りが軽減してきたので、当帰四逆湯と当帰芍薬散料を投与し、交互に服用するように指示しました。同2薬方を約5か月服用。お腹がふっくらとしてきたので当帰芍薬散のみとしました。同薬方を約3か月服用後に妊娠の報告がありました。妊娠初期には流産止めに芎帰膠艾湯を投与。19週からは当帰芍薬散を服用し、無事女児を出産されました。


治療のポイント

この方は、夏はクーラーを嫌い、冬は足が冷え痛くなるほどの冷え症でした。そこで、まず鼠径部の冷えと突っ張りを目標に当帰四逆湯を投与しました。腹部中心部の硬さが取れ、冷えの改善がみられたことを機に、当帰芍薬散料も併用しました。その後、冷えによる中心部の硬さが完全に取れたため、当帰芍薬散料のみの投与として妊娠に至りました。腹証の変化に従い処方を決めていく重要性を示した症例です。

処方した漢方薬

当帰四逆湯とうきしぎゃくとう
当帰芍薬散料とうきしゃくやくさんりょう