漢方で*赤ちゃん迎える院長blog

アンチエイジングと卵子の老化~卵子の質の向上

~アンチエイジングと卵子の老化~

「アンチエイジング」という言葉が市民権を得てから久しくなります。しかし、漢方では2000年前の昔からごく普通に語られて来ました。要するに若さを保つ秘訣であり、キーワードは『腎虚』です。

漢方において、腎には生命エネルギーの根源となる「腎精」が宿るとされます。この「腎精」の盛衰が人間の発育、成長、老化の過程、および生殖機能に深く関わっていると考えます。「腎虚」とはこの「腎精」の衰えです。その一番の原因は加齢であり、加齢が「腎精」を枯渇させてしまうのです。

漢方の視点からいうと「アンチエイジング」とは、「腎精」に力を注ぎ「腎虚」の状態を阻止することに他なりません。そして腎虚の状態では”冷えのぼせ”などの症状などが出やすくなり、閉経になるとホットフラッシュなどの更年期特有の症状などがみられます。生理がない男性にも更年期症状は現れても可笑しくありません。要するに、男女問わず年齢の節目です。焦らずに、年齢に逆らわずに自然の流れに沿って漢方薬などで治すのが治療の基本です。

~生命力はもともと弱くはない~

昨今の「卵子の老化」の問題。漢方でいえば、これも「腎虚」の問題です。女性の平均寿命が80を優に超えた現在、閉経の平均がその2/3のおよそ50歳前後になっています。35歳くらいから卵子の老化や数に減少が早まるのは自然の摂理です。当診療所では20年以上前から妊娠する人の70%は35歳以上 、高度生殖医療が今ほど進んでいなかった20年前は90%以上の患者さんが自然妊娠でした。

因みに、国の人口動態によると、平均寿命が60歳に満たない戦前でさえ、年間100人以上の50歳以上の妊娠数がありました。平均寿命85歳の現在は数人程度しかいません。現在とは様々取り巻く環境の違いがあったにしても、昔は健康であれば子供を作ろうという気概が医師にも患者さんにもあったのだと思います。。

私はいつも患者さんに言っています。『 35歳くらいで卵子が老化して不妊症になるなら、今ごろ人類は滅んでいるよ』と・・・

生命力、そんなに弱いものではありません。まして子孫を残す力はもっと強靭なはずです。「卵子」の老化という言葉に惑わされることなく、人間としての己の奥底に潜む生命力を信じるべきであると、日々の診療を通して私は常々考えています。それが、卵子の質の向上にもつながると思います。