漢方で*赤ちゃん迎える院長blog

当帰は、優れた天然のサプリ~当帰芍薬散について

今年、初めてのblogをupします。今年最初の話題は婦人科、不妊症、妊活の中心の薬『当帰』です。色々と漢方についても書いてしまい長くなりましたが、是非とも最後まで読んで下さい。(写真は、「当帰芍薬散」です)

『当帰』はセリ科の多年草で、2000年以上の昔から根の部分が漢方薬として使われてきました。また『当帰』は昔から「婦人の妙薬(みょうやく~理由は分からないが何故か効く┅^.^)」とも言われてきました。補血、活血、調経、止痛、潤腸作用等々に優れた効能があり、冷え性をはじめ生理不順、生理痛、不正出血、または不妊症、妊活、貧血、強弱体質、更年期障害等々様々な症状や疾患に用いられてきました。

~因みに、『当帰』は”ヨーロッパトウキ”としてヨーロッパでも使われています。アルプス地方では”Angelica(アンゼリカ”)と呼ばれて冷えや生理不順、生理痛に用いられています。”アンゼリカ”~可愛い名前ですね(^.^)~はエンジェル(天使)という意味で、『当帰』の薬効に由来しているらしい👼ですよ♪♪~

処方としては、婦人科疾患や不妊症、妊活の薬として有名な「当帰芍薬散(トウキシャクサン)」、その「当帰芍薬散」以上に冷えの効果が優れている「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカ·ゴシュウユショウキョトウ)」、排卵障害、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、高度生殖医療の際に質の良い採卵を促す「温経湯(ウンケイトウ)」、冬の乾燥の痒みに用いる「当帰飲子(トウキインシ、)」、貧血に用いる「帰脾湯(キヒトウ)」、そして更年期障害に用いる「加味逍遥散(カミショウヨサン)」等々、多くの婦人科系の処方に用いられています。また最近では『当帰』は認知症に効果があるとの研究報告もあります。

ところで、漢方は『証(しょう)』に従って薬を処方するのが基本です。とくに『証』の決定に大事なのが『腹症(ふくしょう)~お腹の”固さ柔らかさ”』です。不妊症で有名な「当帰芍薬散」は最後の仕上げの薬です。”冷え”や”瘀血”などの体質改善をおこない、妊娠しやすい”腹部軟弱”のお腹になって服用し、はじめて効果のあらわれる薬です。どんな名薬でも『証~腹症』を無視して服用しても本来の効能が発揮できません。漢方的考えに沿って診察し正しく判断して「当帰芍薬散」を投与しないと、本当に”宝の持ち腐れ”です(ー。ー#)

高度生殖医療を行う際も、「当帰芍薬散」を服用する位の”腹部軟弱”の状態でなければ、着床→妊娠→出産は覚束ないと思います。患者さんに診察中に話すのは、”妊娠する場所は子宮・卵巣ですが、妊娠・出産は体全体でおこなうもの。妊娠は最後は出産しないと意味がない。そのための漢方による体作り、母体作り”ということです。

さて、『当帰』は香りが強いほど良品といわれています。この香り成分(血行促進に効果のあるリグスチリド、サフロール、p-シメン等々)が『当帰』の薬効となりますが、この香り成分、薬に使う根には勿論ですが葉の部分にも含まれています。

2012年、薬として用いられていた根の部分とは別に、葉の部分を食用として用いられることが厚生労働省から認められました。その際に『当帰葉(トウキバ)』の栄養分析が行われました。その結果として分かったことは『当帰葉』の優れた栄養バランスでした。ある面で云えば、『当帰葉』は品質の優れた天然サプリメントともいえます。


~植物は🌿根っ子が有っての葉っぱ🌱ですから、葉っぱ以上に薬に使う根っ子の部分の栄養バランスはより優れているはずです~

診察中に患者さんから、”漢方薬と同時にサプリメントを飲んでも良いですか”、と質問されることがよくあります。また、この数年、多くの高度生殖医療の施設で体外受精・顕微授精の補助として積極的にサプリメントや漢方薬を勧める施設も増えています。その一方では、ホルモン検査に影響を与える??との事で、サプリメントや漢方薬は一切駄目という施設もあります。

サプリメントは、元々、栄養補助食品として食物などの栄養素を濃縮したものなので、食事の延長だともいえます。(漢方薬は、その栄養素をさらに濃縮したものともいえます)。もしサプリメントが駄目なら食事自体も駄目ということになりますネ( -_・)?。

しかし、あくまで補助ですから食事のバランスが有って成り立つものですが、何故か一人歩きした感もあります(だから、サプリが駄目という施設があるのでしょう┅)。確かに、サプリメントは食事のバランスが良ければ必要ないものですが、現代社会に於いて”1日30品目を食べましょう”、と言っても┅つい不規則になりがちです。私自信も、それを補うために”マルチビタミン&ミネラル”を毎日必ず朝食後に摂っています。でも、用法・容量を守って取り、食事のバランスにも意識して注意を払っています(*^^*)よ。

以前のblogにも書きましたが、女性にとって生理は健康のバロメーターです。様々な体の条件の集大成です。食事はその中で大きな部分を占めています。”体は食事で出来ています”が、”生理も食事で出来ている”と言っても過言ではありません。正しい食生活を行えば自ずと正しい排卵→生理が導かれるはずです。

妊活も正しい生活があって成り立つものです。正しい排卵・生理が為されない、もしくはホルモン検査の結果が悪いという事は、自らの食生活や生活態度の乱れ、または気候やストレスの影響ということも大いにあります。そのような時は一度自らの食事・睡眠・運動を含めた生活態度全般を振り返り┅、見直すことが大切だと思います。

~排卵・生理もしくは血液検査・ホルモン検査は心身の状態の結果として現れるのです。脳→視床下部→下垂体→卵巣(排卵)→子宮(生理)の流れは、心身の状態の結果として現れるのです。生理は単独で起きるのものではなく、心身(心と体)のバランスの集大成として起こるものです~

また、漢方薬は決して民間薬やサプリメントとは違います。漢方薬は東洋医学の理論に沿って、過去の偉人達が試行錯誤を繰り返し様々な病気や疾患に対処する処方を考えてきました。漢方薬(処方)の特徴は『配合の妙』ともいえます。処方の中での漢方薬の其々の配合のバランスがとても重要なのです。ただ、単純に漢方薬を使えば良いというものではありません。

漢方薬には「 君・臣・佐・使(クン・シン・サ・シ)」という言葉があります。会社で云えば、社長・部長・課長・平社員です。社長が幾ら偉くても、それを補佐する人が居なければ会社は成り立ちません。漢方の処方も同じことです。この君・臣・佐・使に沿って薬を配合することが大切です。ワンマン社長の会社ではいずれは会社は潰れてしまうのと同じです。理論のない漢方薬は単なる民間療法でしかありません。

例えば、『当帰芍薬散』。君薬は当帰(トウキ)4g、臣薬は芍薬(シャクヤク)4g、佐薬は白朮(ビャクジュツ)4g、使薬は、川弓(センキュウ)3g、茯苓(ブクリョウ)4g、沢写(タクシャ)3gでなりたっています。確かに『当帰』は優等生ですが、『当帰』を補佐する他の生薬も大切です♬ (最初の写真が『当帰芍薬散』の配合です)

そして、この「君臣佐使」の組み合わせは全ての漢方薬の処方で決まっています。長い時代を掛けて行われてきた過去の偉人達の人間観察の賜物です。人間観察の結実が漢方薬です。それが漢方薬が2000年以上の長きに渡り、様々な時代を乗り越えて生き残ってきた(生き抜いた)理由だと考えます。

さて、今回の本題の『当帰』の優れた栄養バランスの話┅

これまで話してきたように、漢方薬は薬の組み合わせが大事なので、単味で使うことは先ずなく、他の薬とのバランス(配合&量)が重要です。しかし、こと『当帰』に至っては栄養バランスからして、食事として葉の部分を食べるのはとても良いこと⤴️⤴️だと言えます。

『当帰』の産地としては、奈良県の『大和当帰(ヤマトトウキ)╱大深当帰(オオブカトウキ)』が品質も高く有名です。

~当院でも、『当帰』は品質の高い“大和当帰“を使っています~

前述した通り、食品として『当帰葉(トウキヨウ)』が厚生労働省から認められた時『大和当帰葉』の分析を行いました。その際に、活性酸素から体を守る坑酸化作用の高いビタミンEが、あらゆる野菜や果物の中で『当帰葉』の含有量が最も多いことが明らかになりました。

以下の図は、「一般社団法人 大和ハーブ研究会編」、『大和当帰葉って?』を参考に致しました。

この見事な、ビタミン・ミネラルのバランス良さや含有量の多さをみると、まだ科学が発達していない昔から、『当帰』が『婦人の妙薬~なぜ当帰が効くの??』と言われてきた理由も┅、頷(うなず)けます。科学の発達していない遠く祖先の人々の、己の五感を信じ駆使して、人間・植物を含む自然界をみる時の観察力、推測力、洞察力には、ただただ感服するのみです。

との話を、昔からの患者さんに診察中に話したら、、
『先生、裏が取れましたね(^.^)』と┅
ん( -_・)?、
まさに、その通り❗❗

先人の教え「当帰~婦人の妙薬」の
根拠が判明したようで、
感無量(⌒‐⌒)です♪♪


参考文献
1) 一般社団法人 大和ハーブ協会
  「大和当帰葉って?」
2) 斎藤明子、大橋正孝、清水弘美
  生薬の医薬品以外の部位を食品に利用するための加工技術の開発(第5報告)
  ~トウキ葉のビタミン類について~
3) 北野文理、長澤健
  大和当帰茶のフタライド類およびフロクマリン類の含有量
4) 米田該典、鈴木洋
  漢方のくすりの事典
  ー生薬・ハーブ・民間薬ー