漢方で*赤ちゃん迎える院長blog

生理は脳が起こしている~生理と心のかかわり

勿論、生理は心の持ち方にも強く関係します。生理は排卵の結果として起こります。その排卵を起こす指令は視床下部ー下垂体系からのホルモンの分泌によるものです。視床下部-下垂体は脳の一部ですから、生理を起こしているのは結局は『脳』ということになります。卵巣の原始卵胞は、脳の指令に従って排卵しその結果として生理が来るのです。だからこそ、生理は精神的および肉体的要素に大きく左右されるのです。入学式や卒業式、入社式等のイベント毎に必ず生理が来るという人がいるのはそのためです。

「病は気から」という言葉もあります。そして、昔から生理は健康のバロメーターとも言われています。先ずは身長・体重・体脂肪のバランス。漢方では冷えと瘀血の問題。気候の影響、仕事のストレスや疲れ、食事のバランスの乱れ、睡眠不足、運動不足等々あらゆる要素が生理に影響を与えます。例年、4月5月は新年度の環境の変化や仕事のストレスなどにより生理不順の人が多くみられます。今年はその上に、梅雨の長雨がたたり体調を崩し、より生理不順の人が多くみられました。しかし、それも自らの体を守ろうとする、自然な流れの反応の一つなのです。

心身共に辛いと脳が考えると、人間は生理を止めて体を守ろうとします。それは人間が生きていくために元々備えている体の防衛反応です。生理は1回で80~100mlの血液が出ます。1年間でいえば約1Lになります。体内の血液の量は約4Lですから、1年間でその1/4が生理により失われることになります。つまり、体が“しんどい“と思うと脳が探知して生理を止め体を守ろうとするのです。それが人間としての本来の正しい姿なのです。

典型的な例としては、無理なダイエットもしくは運動をして、体重が減少し体脂肪が15%を切ると生理の止まる人が出てきます。それは、体重が減り血中の脂肪酸の量が減ると、脳が体を飢餓状態として認識し、生理を止めて自らの生命を保とうするからです。要するに、人間が生まれながら備えている体の防衛反応なのです。

生理不順や生理が来ない状態は(早発性閉経などは別にして)、体から発せられた一つの黄色の点滅信号だと捉えるべきです。そのことに気づき、何処に自身の体の不調があるかを、いち早く自らに問うべきことが大切です。

また、生理不順、生理痛 性交痛も体から発せられた黄色の点滅信号です。それらは本来は人間にとっては不自然な状態です。この不自然な状態を改善するために、漢方では冷えや瘀血の改善、さらに食生活や睡眠・運動などの生活習慣を見直すことが自らの健康に結びつくと考えています。そして、それが妊娠・出産にも結びついていくのです。

生理不順や生理痛などでホルモン剤や痛み止めを安易に使い続けるのは、単なる対症療法でしかなく、自らの体の不調を見逃すことにもなりかねません。体の何処に病気が隠ており、それをどのように治療し取り除くかが、健康に生きる上で重要な事なのです。また、避妊目的でピルなどを長期に安易に用いていると、脳下垂体の指令が卵巣に伝わり排卵し、その結果して生理を起こすという、人間の本来の自然な流れを崩すことに成る可もしれません。人間が自然に備えている排卵~生理の仕組を狂わせる可能性もあります。

いざ子供が欲しいとピルを止めた時、正しい形の排卵→生理の流れが来るかを誰も保証はしてくれません。現に大部分の人はピルを止めた後に排卵~生理は来ますが、一部の人は排卵~生理の流れが止まる人がいます。その際、ピルを処方した先生の大部分はその責任を取ってくれません。

そして、排卵が無い生理を起こす状態が何十世代にも渡り続いた近未来の世界では、人間が本来備えている脳~排卵~生理という仕組みを失っているかも知れません。

そもそも人間は何事に対しても楽をしようとする生き物です。排卵の無い生理も、実は体に取っては楽な道なのかも知れません。それを賢い脳が勘付いてしまうかも知れません┅

次回は、本題の妊娠・出産と心のかかわりです。

乞う、ご期待。