漢方で*赤ちゃん迎える院長blog

基礎体温の摩訶不思議~子孫を残すための妊娠力up ― 2

さて、私は常々不思議に思っていたことがあります。それは、生物は卵を産んだ際には親が卵を温めて孵化させる事が多く見受けられますが、人間はこのような行動をしないものだと思っていました。しかし、実は、目に見えないお腹の中で要するに子宮の中でおこなっていました。

(『ボ~ッと生きてんじゃねえよ』と、チコちゃんに叱られそうですが・・・。
クマさんは、気持ち良さそうに寝ていますが・・・)

基礎体温を毎朝測ると、排卵を境に卵胞期の低温期と黄体期の高温期の二相性に別れます。本来は黄体期は、卵管の中で分割を繰返した受精卵が厚くなってきた子宮内膜に着床する大事な時期です。つまり、排卵した卵胞から黄体ホルモンが放出され体温が低温期より(個人差はありますが)0.3~0.5~0.7度位上昇し、受精卵の分割と子宮内膜を厚くさせ着床を促すのです。

人間、進化の過程で無駄なくできていると思います。もしこの子宮内での0.3~0.7度の温度の上昇が人間に必要なければ、基礎体温はずっと一相性のままだと思います。子孫を残すために進化の過程で人類が獲得した、大事な大切なそして健気な0.3~0.7度だと思います。

婦人科の先生の中には、冷えなど不妊に一切関係ないと云う先生もいます。しかし、子宮内の低温期と高温期のこの温度差を考えると、やはり、子宮・卵巣を冷やすことは良くなく、不妊治療に於いては冷えの改善は大切なものだと思います。

夏のク-ラーの冷たい風、一年を通じて出回る体を冷やす飲食物の数々、運動不足により筋肉量の減少による体の冷えの助長。筋肉は動いて熱を産生しますが、断熱材の役目以上の余分な脂肪は、体に取り巻き自分の体を冷やすだけの存在です。筋肉量が減少すれば代謝が下がり、ウオーキングやジョキング等の有酸素運動をしても効率が悪く体脂肪も増えやすくもなります。

そして、以前のblogでも便秘の本質は冷であると書きましたが、その本質を考えずに安易にスムージ―等に飛び付き、ますます体内環境をそして子宮・卵巣環境を冷やす方向に自ら持っていく。冷えには事欠かない環境が整っているのが今の現代社会だと思います。

《先程のクロミッドは、子宮内膜を薄くし生理量が減ることが多い。子宮内膜を薄くすると云う事は、受精卵が着床しにくいと云う事です。先程も云いましたが、子宮と卵巣の力は拮抗状態。無理に排卵を起こすと、内膜が薄くなるのも当然かも。人間の身体は、一石二鳥とはいかず、痛し痒し状態ですね…》

少し難しい話をしてきましたが、現代社会では日々忙しく、毎日時間に追われて暮らしている方が多くいらっしゃると思います。

しかし、やはり人間の体は無理が効かないものです。素直に自分の体に向き合うことが大切です。これまで話してきた頸管粘液や基礎体温の状態から、人間の体の仕組みは本当に上手く出来ているものだと思います。その状態が安定してこその不妊治療であり妊娠だと思います。

私が行っている漢方不妊治療でも同じです。自然妊娠では勿論ですが、体外・顕微授精を含む高度生殖医療に於いても、子宮・卵巣を含む基本の体作りが大切です。妊娠・出産する場所は子宮・卵巣ですが、妊娠・出産は体全体で行うものだと…いつも患者さんに話しています。