漢方で*赤ちゃん迎える院長blog

春の芽吹きと不妊治療

6年前の2018年(戌年)3月に玄和堂診療所のblogを初めました。

犬は昔から安産と子沢山のお守りと言われています。

その戌年の桜咲く弥生に「 妊活に役立つ漢方blogを始められて嬉しく思います」と、書いた覚えがあります。 

 さて、そろそろ本格的な春を迎え、桜の花が開花する時期が近づいて来ましたが、今年は3月に入っても寒さが続き、例年より今年の開花が遅れています。
私が小学生の頃は入学式の少し前が桜の満開の頃でした。最近は地球の温暖化の為かだいぶ開花が早まった様に思われます。  ところで、その桜。桜の花が咲くには、700度に達しないと開花しないと…皆様は知っていましたか??

  要するに、2月からの最高気温を足して700度に達すると開花するとか… んー、蓄熱ですね。 植物学的には『積算温度』といってごくごく常識らしい… でも、私にとっては新鮮な驚きが…
それまでの私は、ただ単純に3月になり暖かい日が続けば開花すると思っていました。 しかし、実は寒さの厳しい真冬の2月から春の開花に備えて、必要なエネルギーを 蕾の中で地道に蓄えていたのですね。  

 そしてこれは、赤ちゃん作りも同じです。 まさに、この“蓄熱の力”が大切なのです。 もともと、人間は寒さには弱いものです。そして、下半身は上半身に比べ冷えの影響を受けやすいもの。そのため子宮・卵巣が冷えてしまうと、妊娠・出産に必要なエネルギーを子宮・卵巣に蓄えられません。そのため、漢方不妊治療では、腹証(お腹の状態を診る)の変化に重きをおき、個人個人の証(状態)に見合った薬を処方するのです。まずは下半身および全身の冷えの改善を行うことが大切です。

  それにしても、 桜さんは偉い! 蕾は本当に偉い!!
冬の寒さに耐え蕾の中で、 開花に必要なエネルギーを着実に蓄えていたのですね。 そして、誰が教えた訳でもないのに、 700度に達すると自らの力で綺麗な花を咲かせる。 花を咲かせて子孫を残そうという力があの小さな蕾の奥底に息づいていたのです。 自然の摂理、自然の力は凄い。 そして、人間もまたその自然の一部にしか過ぎない。不妊治療では、 色々と妊娠に悩むことが多く 、行き詰まることも多々あるでしょう。

 しかし、妊活は身体の問題と共に心の問題でもあるのが昨今の事情。 自らの体の奥底に流れる”赤ちゃんを宿す生命力”を 自らの心の中で信じることが大切です…と、 私は、日々の診察の中で患者さんに話しています。 今この時期、まだ桜の花は咲いていませんが、桜の蕾たちは、開花に必要なエネルギーを人知れずに溜めているのですね。

 待つ春を 蕾に宿る健気さよ 密かにそっと 温もり抱く