漢方で*赤ちゃん迎える院長blog

未病と不妊・妊活upへの道 ~ 2

前回に引き続き『未病』と不妊についてです。今回は、具体的にその症状について説明したいと思います。

不妊治療を行っていると、この『未病』の状態の患者さんが実に多いことを実感します。不妊の原因は「冷え」と「瘀血」といつも患者さんに話していますが、この「冷え」と「瘀血」も、本来は『未病』の状態に他ならないのです。人間の体は冷えて良いことは何もありません。冷えれば風邪をひいたり下痢をしたりします。冷えれば神経痛や腰痛が悪化します。冷えて免疫力が低下すれば様々な病気の原因となりますし、また癌の原因にも関係するとも云われています。

 

婦人科系においては、「冷え」は生理不順や生理痛、卵巣機能の低下や子宮内膜の状態の悪化を招きます。卵子の数の減少は年齢的には仕方ないことかも知れません。だからこそ残された卵子の質の向上が不妊治療においてはとても大事になります。冷えによる卵巣機能の低下は卵子の質の低下をきたし受精を難しくします。子宮内膜が薄くなれば、折角の受精卵自体の着床も難しくなります。従って「冷え」という「未病」の状態を改善することはとても重要なのです。「冷え」を改善することは即ち、子宮・卵巣の機能を向上させることとなります。結果それが、冷えてかたいお腹から赤ちゃんを迎えるための軟らかなお腹となって、妊娠・出産へとつながっていくのです。(「妊娠しやすいお腹・妊娠しにくいお腹」blog参照)

 

「瘀血」も、一つの『未病』の状態であり生理前症候群や生理痛の原因になります。そして、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症などの婦人科的な疾患の原因ともなります。また「瘀血」による体内の血液、特に腹部の血流のウッ滞は子宮・卵巣の血流の滞りを生じます。その結果として子宮・卵巣の機能低下を招き不妊症の一因ともなるのです。

 

「冷え」や「瘀血」により現れやすい症状に、頭痛・生理痛・便秘、いわゆる婦人科的な臨床3大症状があります。漢方的にいえばこれもある面では『未病』の状態です。人の体は生きていくためにリズムやバランスの上になりたっています。人間は単純にいえば入って出す構造です。朝昼晩の3食を食べ10杯位の水分をとり、日に12回の便通、56回のお小水、暑い時にはしっかり汗をかく、女性は月1回生理がくる。これが本来の健康的な人間のバランスの状態です。(「頭痛・生理痛・便秘」blog参照)

 

また患者さんの中には性交痛を訴える人がいますが、性交痛は「瘀血」と「ガス」による腹部の緊張感が関与します。性交痛がひどくてタイミング合わせが億劫になれば子供ができません。これも本来の正しい健康な姿ではありません。そして、これらの頭痛・生理痛・便通及び性交痛が治ることで妊娠する人がいます。

 

『未病』は、その人の日常生活においては”ありふれた症状”なのかも知れません。しかし、それは本来の健康的な状態とはいえません。本人とっては日常茶飯事的な”ありふれた症状”である『未病』の症状に目を向けて治すことが、自分自身に本来備わっている健康な体にする上で大切なことなのです。

 

自然妊娠は勿論ですが、高度生殖医療の場合でも採卵の数を増やし、一つ一つの卵子の質や子宮内膜の状態を向上させ妊娠・出産にむすびつけることが大切です。そのためには「冷え」や「於血」による諸症状を改善し、自分の体を『未病』の状態からから健康体にすることが大切となります。そのような時、漢方不妊治療はとても有効な治療手段となります。不妊治療は、妊娠して流産せず出産しなくては意味がありせん。そのためにも漢方治療による体作り母体作りが大切であると、私は常々考えています。


ブログ冒頭の赤ちゃんの絵は、患者さんお礼のお葉書に書かれていたものです。細やかに丁寧に赤ちゃんの表情が書かれいて、母親の子を想う気持ちが伝わってくる本当に素晴らしい絵だと思います。

このお葉書頂いた時には本当に嬉しく思いました。今でも自分の書いた本の間に大事にはさみ、『可愛でしょう』と、時々は患者さんに見せています。

さて、秋もだんだん深まり、銀座の街のウインドウも華やいできました。次回のブログの写真は、銀座パンダ🐼です。

題目は、『未病とアンチエイジング』です。乞う、ご期待を┅