漢方で*赤ちゃん迎える院長blog

更年期障害-2~加味逍遥散(かみしょうようさん)~

生理は一回で80~100cc、年間で1Lの血液がでます。人間の血液は約4Lですから、年間で血液の1/4が失われます。生命を維持するために、私達は骨の中にある骨髄の造血作用で血を作り血液の量を保ち生命を維持しようとします。ですから、生理中はこの造血作用がフル回転するので、生理中に疲れたり😣💦⤵️眠くなったり😵💤⤵️する女性の人が多いのです。

さて、もし、70歳80歳のおばちゃんに生理があったらどうでしょう。50歳位までの人なら体力もあり、生理の出血による体の負担に耐えられると思います。でも、もし70歳80歳のおばちゃんに生理があったら、果たしてこの負担に耐えられるでしょうか?? この量の出血は、ある面では生命の維持に危険を及ぼす事にもなりかねません。

ですから、そのためにも女性には閉経があるのです。50歳以降の閉経から死を迎えるまでの期間を、健康かつ安全に暮らしていく上でも、女性の閉経は必要なことでもあり、自然の摂理なのです。人生80歳として、その2/3の50歳位で生理が止まるのが自然な流れなのです。

そして、その仕組みは人間が受精して生を受けた瞬間から始まっていることを、皆さんはご存知ですか??

卵子は、人が受精により生を受けた5週目から卵巣内で原始卵胞を作り初め、胎生の20週目でピークの700万個に達します。その後は急速に減少し出産時には約1/3の200万個に減っています。そして、初潮の始まる頃には60万個前後まで減少ています。その後も月に100個位は減り続け、50歳前後で0に近づき閉経を迎えます。

ところで、漢方では”気・血・水”の流れを大事にします。

体内のこの”気・血・水”が順調に巡っていれば健康を保て、滞ると病気に陥ると考えます。「気」は、自律神経、メンタル、心の問題。「血」は、血液の流れや瘀血。「水」は、冷えやむくみや水毒です。

そして、閉経は生理が止まり、今までの体内のホルモン環境が一挙に変化することで引き起こされる脳の混乱状態です。自然な体の変化であり一つの自然な体の流れです。

しかし、脳は賢い存在です。暫くして生理がない体の環境状態を察知すると、体をその環境に順応させようと無駄な指令を送らなくなります。

更年期症状の代表的な症状に”ホットフラッシュ”があります。これも生理がなくなったことに対する脳の混乱状態ですが、暫くして脳の混乱状態も収まり無駄な指令を送らなくなると、”ホットフラッシュ”も自然になくなるものす。

確かに、更年期症状には個人差があり、非常に強いと全然ない人。長期間続く人やほんの短期で終わる人など、個人云々により差があります。また男性にも更年期症状は現れます。そして症状が強い人や長期に渡る人には、更年期障害で有名な漢方薬の「加味逍遥散」が特に有効です。

さて、この更年期症状、別に閉経の時期に限ったものではありません。初潮の頃にみられる早発性更年期。30歳前半の女性の厄年にみられるpre-pre更年期。40歳台の節目のpre更年期。50歳前後閉経の本来の更年期。そして、60歳、70歳の年代の節目でもみられる老年期??更年期。そして後で話す妊活更年期障害。

更年期は、女性にとって年齢の節目で通る道です。体と生理がうまく順応するために一時的に起こる脳の混乱状態です。その混乱状態もいずれは収まります。ですから、更年期症状は人間が生きていくための自然の流れくらいに考えておかないと、”気・血・水”の流れが乱れ、ますます脳が混乱してしまいます、よ。

更年期症状、確かに嫌な不快な症状です。私の場合も50歳の節目の時に酷い😭更年期障害症状に見舞われました。(男性でもあります┅) 例の更年期症状特有のホットフラッシュが突然襲ってきて呼吸が荒くなる。数分~十数分してホットフラッシュが去っていくと、その後の冷汗や夜は寝汗がでる。体が脱力感に見われ心身共に疲れ果てる。

色々と検査をしても何も異常がでない。この辛い酷い😭💔症状がこのまま一生続けば鬱になってしまう┅と。それを見ていた診療所の従業員の人が、『先生、それ更年期ではないですか??』と┅。はたと気づいて前述の「加味逍遥散」を飲んだら、、、ほぼ一週で症状が消えました。

人の更年期は、客観的に診れるが自分自身のことは、やはり良く分からないと反省しました。でも、更年期症状を経験しその感じがつかめたので、以降の診察の手助けになりました。

更年期症状、無いに越したことはありませんが、年齢の節目、自然の摂理として受け入れ諦めるしかありません。更年期を変に怖がって抵抗しても意味がありません。私も未だに、軽い老年期の更年期症状(ホットフラッシュ)が時々襲ってきますが、また来たかと思い、「加味逍遥散」を飲んで彼が過ぎ去ってくれるのを(・・;)待っています。

ところで、最近、診察で目につくのが妊活中における更年期症状の患者さんです。妊活中のストレスやホルモン剤投与により気・血・水の流れが乱れて起きるものだと考えます。妊活更年期障害と云っても良いと思います。なかなか、私同様に自分の症状は気づきにくいものです。近頃は他の処方と先の「加味逍遥散」を併用する患者さんが増えてきています。

▶当院で処方している漢方薬について~加味逍遥散(かみしょうようさん)~