漢方で*赤ちゃん迎える院長blog

新型コロナを含めて、今後も出現するであろう新型ウイルスに対する免疫力Upのための漢方補剤の活用~未病を治す―1

有史以前より、 ”人類の歴史が細菌もしくはウイルスとの戦い” であるということは、歴史のこれまでの様々な事象からみても自明の理です。そしてこの戦いの歴史は、人類が続く限り未来永劫続く事象であるとも思います。ウイルスは変幻自在に変化します。今回の新型コロナウイルスに対する薬剤やワクチンが開発されたとしても、近い将来、新手の新型ウイルスが必ずや出現するでしょう。

昨今では、「withコロナ~新型ウイルスと共存を図る」と言われていますが、今までの人類における感染症(細菌・ウイルス等)との歴史を振り返れば至極当然のことです。新たなウイルスとの共存を暫く繰り返し、集団免疫を獲得し落ち着き、その後また新たなる敵があらわれるのです。そして、漢方自体が感染症との戦いの歴史の中で生まれたものであり、治療医学としての意義がそこに存在するのです。

過去の人類の歴史を振り返れば、2000年前の傷寒論(ショウカンロン)時代しかり、中世ヨーロッパの黒死病(ペスト)しかり、20世紀初頭の「スペイン風邪(インフルエンザvirus)」もしかりです。「スペイン風邪」、アメリカの兵隊が第一次世界大戦の際にヨーロッパ戦線に持ち込み瞬く間に世界中に広がりました。当時のスペインが中立国で報道管制がなく報道したので、「スペイン風邪」となってしまいましたが、本来ならば 「アメリカ中西部風邪」と呼ぶべきです。その後も、「アジア風邪(インフルエンザvirus)」、「香港風邪(インフルエンザvirus)」、最近では、「SARS:重症急性呼吸器症候群(コロナvirus)」、「MERS:中東呼吸器症候群(コロナvirus)」、「2009新型インフルエンザ」などと多くの新型の風邪が次々と現れています。

いずれのウイルスの場合でも、感染力と致死率および基本再生生産数(一人が何人に感染させるかを示す数値) に違いがあり、広がり方のスピードや地域にはそれぞれ差があります。ただし一つ言えることは、どのウイルスの場合でも、流行の当初は誰もそれに対する免疫を持っておらず、瞬く間に社会に広がるということです。現在よりは遥かに交通機関の発達していなかった、20世紀初頭の「スペイン風邪」の時すら世界中に拡散したのですから、今回の「新型コロナウイルス」が短期に世界中に拡散しても何も不思議ではありません。

因みに、当時は医療水準も未熟なこともあったと思いますが、「スペイン風邪」では、世界人口15億の内の3割強に当たる5億~6億人が感染し推定1700万~5000万人(一説には1億人)が亡くなりました。日本でも当時の人口5400万人中、半数近い2380万人が感染し38万9000人余りが亡くなりました。

そして、今後も新型の感染症が出現するのは明らかです。ウイルスは元々が細菌と違い弱い生命体です。細菌と違い自己繁殖ができず、他の生物の細胞の中に寄生して生きていくしかありません。それゆえに彼等は巧妙で戦略家でかつ悪賢い生き物です。ウイルスは連続変異と不連続変異を繰り返し、宿主の免疫系の先を行く進化をします。

しかし、それは人間を含め総ての生物に共通することですが、生物はどんな環境下でも自分達の子孫を残す道を探し出します。新型コロナウイルスも、入り込んだ宿主の細胞 (新型コロナでは人間) に気付かれなように、生かす殺さず自分自信の分身を増やしていきます。それが彼等が生き物としての子孫を残すための方法なのです。

漢方では『3年3ヶ月3日飲め』という言葉があります。本当の体質改善には3年は掛かるという意味です。物事、すべからく此の法則にあてはまります。「三日坊主」、「石の上にも三年」、「商い三年」、「禍も三年経てば用が立つ」等々と様々な格言や諺があります。100年前の通称「スペイン風邪」も終息に3年掛かりました。今回の新型コロナウイルスの集団免疫の確立にも、その程度の時間経過が必要だと思います。

今回の新型コロナウイルスに対して、中国では「清肺排毒湯(セイハイゲドクトウ)」という新しい処方が作られたました。この処方は傷寒論(ショウカンロン)、金匱要略(キンキヨウリャク)中の、「小柴胡湯(ショウサイコトウ)」、「麻杏甘石湯」(マキョウカンセキトウ)、「五苓散(ゴレイサン)」、「射干麻黄湯(ヤカンマオウトウ)」という処方に山薬(サンヤク)、霍香(カッコウ)などを加味して成り立っています。

明日は、漢方における風邪の考え方と薬の使い方の話です。