漢方で*赤ちゃん迎える院長blog

更年期障害~隠れ我慢症候群ー2

更年期障害の症状とホットフラッシュについて

更年期症状は、気・血・水の乱れからくるので訴えも多彩です。頭痛、肩こり、冷え、のぼせ、寒気。動悸、めまい、息切れ、立ちくらみ、吐き気、倦怠感。イライラ、気分不安定、憂鬱感などのように肉体的精神的に症状は多岐にわたります。

更年期症状の代表的な症状に ”ホットフラッシュ(瞬間湯湯沸し器のように激しく変化するとの意味)” があります。体が熱くなっと思ったら急に寒くなり吐き気が胃から突き上げてくる。その後で冷や汗を体中にかいて心身共に疲れ果てグッタリする。その発作みたいな症状が、短いと時は数十秒、長いと時は数分から十数分続きます。それが昼夜関係なしに日に何回も来たりします。

また、睡眠中に更年期症状が度々来ると安眠ができず睡眠不足に陥り疲れが取れまず益々心身共に疲労困憊していきます。このような状態が続けば鬱状態になる人もいます(心療内科もしくは精神科に通院する人もいます)。患者さんの中には得体の分からない物が襲ってくると、表現した人もいます。世間では、この得体の知れない症状に悩み苦しみ仕事を休職したり止めたりして、今まで築いて来た自分のキャリアを失う人もいると見聞きします。

更年期症状には個人差があります。非常に症状の強い人、症状のほとんどない人。長期間に渡り続く人や短期で終わる人などと個人差がとてもあります。女性は生理痛もある人も多く、一般的に痛みに対して男性より我慢強い傾向があります。最近では ”隠れ我慢” という言葉があるくらいです。

ある面でいえば、脳が混乱に対して強く反応する人、反応しにくい人。なかなか気付かない人、直ぐに気付く人と様々なタイプの人がいます。脳の変化に対する捉え方も人各々ということになります。人に様々なタイプがいるのと同じです。

今までの臨床経験からすると、高度生殖医療などでホルモン劑を多用している人ほど強く更年期症状がでやすい印象があります。たくさんの卵を作ろうとしてホルモン劑で卵巣や身体に負担をかけ瘀血が作られるためだと思われます。
また、生理のない男性にも瘀血があると更年期症状があらわれる人がいます。男性更年期障害です。

私も一時期、昼夜構わず襲って来る更年期症状に半年以上にわたり悩まされ苦しんだ時期がありました。もう少し続いていたら本当に鬱病になっていたかも知れません。それ程深刻な状態でした (検査的に何も異常がない分、精神的にも余計に落ち込みました)。

でも、私のその更年期障害を気付かしてくれたのは診療所のスタッフでした。スタッフひとりの指摘で気が付きました。確かに自分の症状(ひどいホットフラッシュ等)を振り返ると総て更年期症状に当てはまります。人の症状は客観的に診ることができますが、自分の事は色々と考えてしまい、なかなか診断が難しいものだと今でも思っています。

そして、男女問わずしてこの更年期症状に用いる漢方薬に『加味逍遥散(かみしょうようさん)』があります。患者さんの中には、一年以上にわたり更年期症状で苦しんだ人が、この『加味逍遥散』の服用でほぼ一週間で症状が消失した人がいます。私の場合の更年期症状も、この『加味逍遥散』を服用し始めて一週間も経たない内に劇的に症状が改善しました。