漢方で*赤ちゃん迎える院長blog

腸活と妊活、そして冷え-1

『妊活』という言葉が市民権を得て久しくなりましたが、最近は『腸活』という言葉が世間に広まってきました。

「妊活」も「腸活」も、最初に聞いた時には聞きなれず多少違和感を覚えましたが、今は慣れてきたせいなのか違和感も感じず、逆に物事を端的に伝えられて良い言葉だと思っています。

最近の研究では、腸内環境の改善、腸内細菌のバランスが、免疫力の向上に結びつくことが分かってきました。長引くこのコロナ渦において、より自分の免疫力を高め感染予防する人が増えてきたことも、この腸活という言葉が世間の注目を浴びる一因になったのだと思います。

漢方には昔から『先天の気(せんてんのき)』、『後天の気(こうてんのき)』という言葉があります。

「先天の気」は腎の力、「後天の気」は胃腸の力のです。腎は内腎~副腎~外腎 (腎臓~副腎~泌尿器科・生殖器))の三つから成り立ちます。人間は元々は食べなくては生きてはいけません。健康も子孫繁栄も免疫力向上も全てが食事の上に成り立っていると言っても過言ではありません。

さて、腸活とは『腸内フローラ』を整えることです。

『腸内フローラ』を整える(=腸活)とは、善玉菌を増やすものを積極的に摂ることです。腸内に多くの種類の善玉菌が存在するに越したことはありませんが、悪玉菌が存在することも大切です。

腸内において善玉菌と悪玉菌が混在する「多様性」が『腸内フローラ』の重要なポイントなのです。

ただし、悪玉菌を摂ることには意識を向けなくても良いと思います。世間で悪事が蔓延るように┅、どうせ悪いものは無意識に食べるものです。逆に良い行為は意識しなくてはできません。食事も同じ事。善玉菌を摂る意識を持つことが大切です。

腸内の善玉菌:悪玉菌:日和菌の割合は2:1:7の割合です。

※わくわく健康情報館から

そして「腸内フローラ」の良い環境を保ち長続きさせるためには、無理をせず様々な食材を楽しんで食べることが大切です。食事を楽しく食べることは、漢方でいう『気』の巡りを良くします。気は自律神経(交感神経・副交感神経)のことであり、自律神経の巡りを良くすることは「腸内フローラ」の安定にもつながります。

漢方不妊治療の考え方

さて、この「腸活」も体が冷えてしまうと何にも成りません。彼等も生き物。生きていくための最適な温度があります。

本来、体温は36~36.5度前後が最適です。免疫細胞は36.5度が最適温度で一番活発に活動します。体温が1度上がると免疫力は5~6倍上がります。逆に1度下がると30%下がります。病気の時に発熱するのは、体温を上げて免疫細胞を活性化させ病気と戦うためです。ですから、むやみに解熱剤を使うと免疫力が低下し病気が長引くことがあるので、注意が必要です。

一方、腸内温度はもう少し高めの36~37度が最適温度。この範囲の温度で腸内細菌が活発に活動し免疫力も高めてくれます。

いくら食事や飲み物に注意したりサプリを摂取しても、冷たいものを摂りすぎたり運動不足で筋肉量が減ると体を冷やし、結果的には腸内温度を下げ免疫力を下げることになります。

(院長blog:「表面の冷え、内面の冷え」「妊活にはミトコンドリアを増やすスロースクワット」参照)

体を冷やさないことは、「腸活」にとっても大切なことなのです。